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M&A・ファイナンス

【3時間睡眠と孤独な戦い】事業会社のM&A担当者が直面する生々しい現実

はじめに:日本企業の非連続成長を阻む「M&A推進人材の不在」

ノーチラス・キャピタル代表の高橋です。

私はこれまで、M&A仲介最大手の日本M&Aセンターと、東証プライム上場企業ギフティのCFO直下・投資部門という、M&Aにおける異なる二つの領域でキャリアを積んできました。

日本企業のM&Aにおける主戦場で、泥臭い実務に奔走する中で一つの確信に辿り着きました。 日本国内のM&Aにおけるボトルネックは、「事業会社主体でM&A実務を完遂できる人材の不在」にあるということです。

この構造的な課題を解決し、企業の非連続な成長を支援するために、2023年にノーチラス・キャピタルを立ち上げました

原体験:上場企業のM&A担当者の生々しい現実

数年前、私が東証プライム上場企業のギフティに在籍していた当時は、大規模な資金調達を経て、M&Aを本格化させる激動のフェーズにありました。

CFO直下の投資担当として現場を統括する中で直面したのは、待ったなしで積み上がる案件と、それに比して圧倒的に不足する実務リソースでした。

上場企業としてステークホルダーへの説明責任を果たし、かつ買収後の企業価値向上を確かなものにするためには、極めて高度かつ広範な実務が要求されます。

  • 戦略的見地に基づく投資クライテリアの策定
  • 自社の見立てを精緻に反映したプロジェクション作成とバリュエーション
  • DDで検出された論点の優先順位付けとリスク評価
  • PMIを見据えたシナジー創出シナリオの立案 など

これらの千本ノックとも言える過酷な実務を、深夜まで孤独にスプレッドシートと向き合い完遂した日々が、今の私の血肉となっています。

しかし、同時に痛感したのは、事業会社におけるM&A推進が、いかに高ストレスな環境であり、属人的な能力に依存しているかという、生々しい現実でした。

M&Aの現在地:かつての「飛び道具」から「生存戦略」へ

現在、日本企業の経営においてM&Aはもはや限定的な選択肢ではなく、企業の命運を分ける「標準装備」あるいは「生存戦略」へと、明確にその位置づけを変えています。

3-1:データが示す「M&Aフェーズの変化

2025年末には、「新興企業のM&A、25年は最高7500億円超」という記事が日本経済新聞に掲載されました。また、フーリハン・ローキー社の調査によれば、「2025年のM&A市場の活性化要因は一過性のものではなく、『中長期的な変化の始まり』である」と総括されています。

オーガニックな成長戦略の限界と、M&Aが生存戦略としての標準装備化という認識は、すでに市場全体のコンセンサスとなりつつあります。

(出典:「日本M&A市場の最新動向 ~2025年の総括|フーリハン・ローキー株式会社 」

3-2:現場で感じる「M&Aの位置づけ」の変容

また実際に私が、日々多くのCFOや経営層と対話する中でも感じるのは、「M&Aをやりたい」という意欲以上に、「M&Aを使いこなせなければ生き残れない」という切実な焦燥感です。

当社への相談も「M&Aを検討している」段階から、「実行したいが、社内に適切な推進方法と体制が欠如している」という、より具体的なフェーズでの依頼が急増しています。

市場は拡大し、手法も一般化してきた。しかし、その「実行」を支えるインフラが追いついていない。このギャップこそが、日本の中堅企業が抱える最大のボトルネックだと痛感しています。

構造的な課題:なぜ「理想のM&A推進人材」は存在しないのか

なぜ、これほどニーズが高まっているにもかかわらず、現場では深刻なミスマッチが起きているのか。それは「M&Aを推進できる人材が、事業会社の中に構造的に不在である」という構造的な問題が存在するためです。

上場企業としてステークホルダーへの説明責任を果たし、精緻な検討を尽くした上で「失敗しないM&A」を行うには、対象事業の市場分析や自社の見立てを精緻に反映したプロジェクションの作成、バリュエーション、ストラクチャー検討など膨大な工数と専門性が求められます。

私もギフティ時代は、多様な論点を整理し、泥臭い交渉までを完遂するために、3時間睡眠の日々を過ごしていました。私自身の経験のみならず、他社のM&A部門の優秀な担当者が体を壊している話を耳にするたび、確信に変わっていったことがあります

それは、「これほど過酷な業務に対応できるような広範なケイパビリティを総合的に持っている人材は、今の日本の事業会社にはほぼ存在し得ないのではないか」ということです。

4−1:M&A推進人材の不足 

日本国内で、”M&Aを継続的に実施している企業において”、”主担当として”、”数年勤務して複数件経験”した人材が何人いるでしょうか。

投資銀行やFASの立場で専門職としてM&Aアドバイザリーに従事されてきた専門家はいても、「事業会社の中の人」として全プロセスを完遂した経験を持つ人間は、ほぼいないのではないでしょうか。

4-2:転職市場に溢れる「パーツ屋」的人材

本当に実務ができる層は、すでに自社の出世頭として囲い込まれているか、あるいは給与水準の高いコンサルやファンドなどのプロファームへ流出してしまいます。もし仮に、こうした人材が仮に転職市場に出てきたとしても、各社で奪い合いになります。

そして、転職市場に現れるのは、特定の工程のみを担当した「パーツ屋」的な人材であるケースが少なくありません。例えば、買収案件のPMOや、プロジェクション作成のみ担当したFP&Aメインの方。またはM&A仲介での営業経験しかない方などが該当します。

当然ながら、特定工程の断片的な経験のみでは、高度で正確な経営判断とハードな交渉力が求められるM&A実務の完遂は、極めて困難と言わざるを得ません。

4-3:「採用」という選択肢の破綻

「M&A担当を採用しよう」と動いても、結果は二つに一つです。

  1. そもそも理想の人材の採用ができず、採用活動が永遠に終わらない。
  2. 要件を広げて経験不足の人材を登用しても、現場で潰れるかリテンションできない。

つまり、多くの事業会社にとって、「M&A人材を自社で雇用する」という選択肢自体が、構造的に成立していない可能性が高いのです。

この「構造的な課題」を解消しない限り、日本企業の非連続な成長はあり得ない。この実体験から得た強烈な危機感こそが、私がノーチラス・キャピタルを創業した原点です。

M&A推進の鍵:CorpDev(コーポレートデベロップメント)という機能

中堅上場企業がM&A人材を自社で抱え込もうとする選択には、構造的な限界があると述べた一方で、GAFAなど海外のハイグロース企業ではCorporate DevelopmentといわれるM&Aや投資、アライアンス推進を専門とする部署が存在します。

そして私は、この「CorpDev」という機能が、M&A推進の鍵になると考えています。

5-1:日本の経営に欠けている「CorpDev」という機能

CorpDev(コーポレートデベロップメント)とは、自社の成長戦略に資する「非連続な施策」を専門に推進する機能です。具体的には他社とのアライアンスに関わり、以下のような多角的な動きを担います。また、その他全社横断の匿名案件にアサインされることもあります。

  • M&A: 市場シェア拡大や新ケイパビリティ獲得のための買収
  • 戦略的提携: 資本業務提携やジョイントベンチャー(JV)の設立
  • CVC・マイノリティ投資: スタートアップへの出資を通じたオープンイノベーション
  • 事業売却・カーブアウト: ポートフォリオ最適化のための非中核事業の切り出し

米国では一般的ですが、日本でもようやくその重要性が認知され始めています。(実際に、私が在籍していたギフティでも、成長の加速に合わせて「Corporate Development」部門が正式に立ち上がりました。)

▼CorpDev(コーポレートデベロップメント)については、こちらをご参照ください。

5-2:当社が提供する「M&A推進室代行モデル」

私たちは、この希少なCorpDevという機能を、外部のアドバイザーとしてではなく、クライアント企業の「インハウス機能」として提供しています。

弊社の最大の特徴は、クライアントの深部へ入り込みM&A実務を推進する、徹底した当事者性にあります。

クライアントのSlack/Teamsに入り、独自ドメインのメールアドレスと名刺を携え、社内の一員として「中の人」が完遂すべき業務を、スコープレスかつ縦横無尽に推進します。投資クライテリアの策定といった上流の設計はもとより、役員会に向けたプレゼンテーションや、時には案件見送りの意思決定のサポートまで、経営陣の隣で徹底的に伴走しています。

さらに、買収先の現場との泥臭い交渉に加え、多くの専門会社が敬遠しがちな、社内の事業部・バックオフィスとの合意形成といった「調整実務」にも強みをもっています。M&Aを動かす上で実は最も物理的なリソースが必要となり、かつ成否を分けるこの実行領域を代行することで、M&A推進のアクセル役として機能しています。

M&Aが「生存戦略」となり、経営の標準装備になっていく過渡期の今。私たちがこだわっているのは、M&A戦略に「実行力」をもたらすことです。

あの頃の私が喉から手が出るほど欲しかった「共に修羅場を乗り越えてくれるCorpDevチーム」を、日本企業のインフラにすること。それがノーチラス・キャピタルの存在意義です。

終わりに:M&Aを「正しく」怖がり、「正しく」挑むために

M&Aは、魔法でもなければ、単なる博打でもありません。しかし、正しい「型」と、それを遂行する「圧倒的な実務リソース」が欠ければ、それは容易に経営を揺るがすリスクへと変貌します。

M&Aを、特別なイベントから再現性のある「経営の日常」へ。私たちは、日本企業の非連続な挑戦を、現場の泥臭い実務から支え続けるインフラでありたいと考えています。

M&Aを経営戦略に組み込み、非連続な成長を目指す経営者・実務担当者の方は、ぜひ一度当社へご相談ください。貴社の状況に合わせ、最適なM&A推進体制の構築やCorpDev活用方法を、専門家チームがご提案いたします。

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